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三菱のHEPA空気清浄機 MA-83D のカタログから「ウイルス」の文字が消えた [家電・AV機器]

MA-83D_before.jpgMA-83D_after.jpg
 まあとりあえず上図を見比べて下さい。これは三菱電機のウェブサイトから同社の空気清浄機 MA-83D の説明ページを一部引用したものです。(引用元:http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/airclean/omakase_index.html)左は発売当時の説明ページ、右は現在の説明ページのスクリーンショットです。違いに気づいたでしょうか?多少レイアウトや表現の違いはありますが、「ウイルス」というキーワードがごっそり抜け落ちています。

  三菱電機 MA-83D は他社のようにホコリ・粒子を帯電させ、+と−が引き合う力を利用して集塵を行う機能や、OHラジカル等の強い酸化力を利用し粒子そのものを無害化する機能は搭載されていません。MA-83D は昔ながらの「目の細かいフィルタでゴミを引っかける」というシンプルな集塵方法をとっています。そのかわり、HEPAフィルタという非常に高性能なフィルタを採用しています。

HEPAvsParticle.png

 このHEPAなんですが「300nmの粒子を99.97%以上捕集できるフィルタ」と定義されています。(余談ですが、さらに高性能なフィルタとして100nmまでの微粒子に対応したULPAというものもありますが、民生用にはほとんど採用されていません)じゃあ300nm未満の微粒子は素通りしてしまうのかと言うと、そうではなく静電気などの力で集塵することができます。大きな粒子は引っかかり、小さい粒子は引っ付くというイメージです。実際、三菱電機も「10nmの粒子を99%捕集できる」としています。

 さて、ここで肝心なウイルスの大きさですが、だいたい 10nm 〜 100nm と言われています。近年猛威を振るっているインフルエンザウイルスは 90nm くらいと大きい部類に入ります。これまで出た数字を見るとHEPAフィルタでも十分捕集できるじゃん!と思うのですが、なぜか説明ページからは抜けています。一方、ウイルスと同等かそれより小さいタバコの煙の粒子や、ディーゼル車の排ガスに含まれる微粒子(DPM)は捕集できるとしています。99%という捕集率では不十分なのか、HEPAフィルタが仕様上ウイルスの捕集を保証していないためのか。はたまたフィルタの仕様変更(コストダウンとか)によりウイルスが捕集できなくなったためか。そもそも三菱は自主的に掲載をやめたのか、それとも国民生活センターみたいなところが是正勧告を出したのか。うーん、謎です。

 そもそも、HEPAフィルタは空気清浄機だけでなく、いまや掃除機にも内蔵されています。HEPAフィルターは元々クラス100レベルのクリーンルームのために開発・採用されてきたフィルターであり、個人的にこんな家電製品にホイホイ搭載されて、本当に本来の性能を発揮・維持できているのか疑問です。この MA-83D は1枚のHEPAフィルターを8年間も使えるそうな。寝言は寝て言えって感じです…。(もちろん、フィルタユニットにはHEPAフィルタの手前に何層もプレフィルタが有り、すぐ目詰まりしてしまうなんて事はないのですが)

 風量だけは家庭用空気清浄機の中でトップクラスを誇る MA-83D。ただ、その集塵方法は紙パック掃除機と同等で、今日の消費者ニーズにはマッチしていません。特に近年の新型インフルエンザによるパンデミックへの不安により、空気清浄機や殺菌グッズの売り上げが急増していますが、この空気清浄機はその波に乗れていません。というか、消費者の関心が高まったから、適当に「ウイルスもとれます」って事を言えなくなったのかな?まあ、花粉やホコリは完全にとれますので、風量を武器に「掃除しても机にすぐホコリがつもるから空気清浄機を買おう!」なんて人には買ってもらえるのではないでしょうか。っていうか、最新ページは「集じん力No.1」の文字も消えてますねw

それよりも、こんなこっそりやらずに周知ぐらいしてほしいものですね。

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ぽーご

現在、経済産業省からの要望で、日本電機工業会と同工業会空気清浄機技術専門員会の各社で、「ウイルス抑制評価方法統一化」の制定を行っており、
実空間での浮遊ウイルス評価方法の検討を行っています。

早ければ、2011年に発売されるモデルから統一基準による測定方法になります。

ちなみに、工業会内ではカタログ交換会というものがあり、各社間でカタログの内容をチェックし、問題がある表現がある場合は、是正勧告が行われ、修正が行われます。
空気清浄機に限らず、エアコンなどの家電製品でもやってます。

初版と第2版を比べると、かなり変更されているのは頻繁にありますよ。
by ぽーご (2010-10-29 21:34) 

ミヤハン

なるほど、そんな取り組みが行われているのですね。
そういった第三者からの目により、消費者にとってより適切な内容になっていくのは良いことだと思います。

話は違いますけど、近々、LED電球についてもガイドラインができるそうで。シャープやパナソニックのような激しく点滅するものやノイズが酷いLED電球はどんどん規制してほしいものです。
by ミヤハン (2010-10-30 20:05) 

2chからwww

ダイキンなんかも勧告を受けて訂正していますねhttp://www.daikin.co.jp/taisetsu/2009/091204/index.html

三菱のも消費者への優良誤認をさける為に、表記を変更したそうです
性能・仕様に変更はないそうですよ(第三者機関で実証済み)
by 2chからwww (2010-11-24 14:58) 

ミヤハン

各社がいきなり「1立方mの試験ボックス内での測定結果であり、実際の部屋での効果を云々・・・」って言い出したやつですね。狭いボックスでの試験や、除菌ユニット直下での試験によるごまかし・誇張宣伝は、プラズマクラスターをはじめとする空間系除菌で有効なトリックですね。

一方、三菱はフィルターによる物理的捕集によってウイルスを除去しますが、フィルタそのものの性能と、商品の実効性能にギャップがあったというところでしょうか。(過圧による捕集率低下、リーク気流など)ただ、Google で"HEPA ウイルス" で検索すると、うさんくさい商品の紹介ページばかりヒットして、技術的な文章があまりでてこなかったりと、個人的にHEPAフィルターそのものにウイルスの捕集能力があるのか、疑問を持っています。
http://www.mmm.co.jp/hc/medical/pro/mask_n95/qa.html#q6

それにしても「ウイルスを100%できるのはダイキンのストリーマ技術だけ」とか「プラズマクラスターはシャープだけ」みたいなCFが流れていますが、各社、宣伝がほんとお上手ですね。
by ミヤハン (2010-11-24 21:06) 

メスペリン

加圧による捕集率の低下というのは、圧損の上昇による捕集率の低下ということでよろしいでしょうか?商品の実効性と言われてますが、フィルターが99.97%の捕集率だからと言って部屋の空気を99.97%クリーンな状態までできるわけがないですよね? 圧損が上昇したところで風量が低下するだけで、フィルターの捕集効率は変わりません。

三菱がウィルスへの効果を宣伝しないようにしたのは、消費者への優良誤認を防ぐ為のことでだそうです。要するに、「空気清浄機を使用すればインフルエンザへの感染を完全に予防できる」とは言い切れないので宣伝を止めたということです。また、特定のウィルスへの効能を謳うことは薬事法の問題も絡んでくるので単純ではないようです。

HEPAフィルターでのウィルスの捕集性能については、かなり以前より、検証されているので疑う余地はないと思います。以下2つのリンクを貼っておきます。(ミヤハンさんは頻繁に2chで書き込んでるので見てるとは思いますが)

http://www.cambridgefilter.com/HR_IPA.htm


http://jdream2.jst.go.jp/jdream/action/JD71001Disp?APP=jdream&action=reflink&origin=JGLOBAL&versiono=1.0&lang-japanese&db=JSTPlus&doc=87A0477299&fulllink=no&md5=ca3247b324fc55f7d59d6bce6ce21066
by メスペリン (2010-11-24 21:49) 

ミヤハン

私が一番気になっているのは、なぜ三菱だけがウイルスに関する表現をすべて削除したのかという点です。「お客様に誤解を与えてしまう恐れがあるため」なんて美談は説得力のかけらもないわけで。一方、サンヨー、シャープ、ダイキン、パナソニックなどは、依然ウイルスに対して効果があると宣伝しています。

確かに景品表示法や薬事法に抵触する不適切な表現は、是正していかなければなりませんが、それは他のメーカーでも同じ事です。今回のような表現の全削除は、明らかに不自然であり、従来の表記が他社に比べてあまりに不適切・悪質だったのではないか?と勘ぐったのが、この記事を書いたきっかけでした。



>捕集率低下
多くのフィルターメーカーのサイトで、風量(風速)をあげるほど捕集率が低下するデータがあったので書きました。しかしよく考えれば、MA-83D はフィルターの面積と定格風量からして問題なさそうですね。

>99.97%
注目されるべきは、HEPAのスペックシート上の数値ではなく、空気清浄機がはき出す空気が、吸い込んだ空気に対してどれだけきれいになっているかという点だと思います。

>HEPAのウイルス
参考URIありがとうございます。HEPAフィルターでウイルスは捕集できるようですね。
by ミヤハン (2010-11-24 23:25) 

メスペリン

今回の勧告は空気清浄機の業界全体に対して行われたようですが、対応については自主判断となっているようですね(勧告ですので)

某スレに掲載の三菱への問い合わせ内容を一部転載しますと
『インフルエンザ・新型インフルエンザの流行を背景に、
多くのメーカーが「ウイルス分解」「ウイルス除去」「ウイルス無力化」
等の訴求をし、ウイルス訴求競争が過剰に行われた結果、
“消費者の優良誤認につながる可能性がある”との指摘を受け、
業界全体が訴求表現の見直しを求められた経緯がございます。
それを受け、弊社もカタログやWebサイトの表現見直しを実施し、
「ウイルス」に関する表現については、 空気清浄機の使用により感染予防の効果を訴えることは 消費者への誤認につながると判断し、より慎重に改訂を実施し致しました。

本件、訴求の詳細については各社判断で見直しを実施したため、
他メーカー様で訴求できている内容が、 弊社基準では優良誤認防止の視点から訴求できないという事例もございます。
ご了承頂きますよう、宜しくお願い申し上げます。 』

とのことです。なので三菱は他社よりも真摯の消費者の事を考えるマトモな企業という印象を持ちました。

>風量(風速)をあげるほど捕集率が低下するデータ
気になる検証ですね。よろしければ情報元を教えて頂ければありがたいです。

>注目されるべきは、HEPAのスペックシート上の数値ではなく~
おっしゃるとおりですね。家庭用の空気清浄機において「リーク」の程度にもよりますが、「リーク」が機能上問題ない程度であればHEPAを採用することにより捕集効率は上がるとは思います
by メスペリン (2010-11-24 23:47) 

メスペリン

連投すみません。この部分こそが大事ですね。
某スレに掲載の三菱への問い合わせ内容の一部です

『それに伴い、集じんフィルターの名称も
発売当初の「抗ウイルス除菌HEPAフィルター」から
現在は「除菌HEPAフィルター」に変更となっておりますが、
実際には、発売時から搭載しているフィルターの仕様は変わっておらず、
発売当初に訴求していたウィルスへの捕集性能・抑制性能もございます。
もちろん、ウィルスへの捕集性能・抑制性能とも第三者機関による実証済みです。 』
by メスペリン (2010-11-24 23:52) 

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