SSブログ

NTTグループが非常電源で節電協力!って言われてもねぇ… [コンピュータ]

非常電源で節電協力=夏場のピーク時間帯に使用-NTT 

NTTの大規模節電対策に2ちゃんねらー大絶賛「さすがテレホーダイを生んだ企業や!」

 東北地方太平洋沖地震を起因とした電力供給能力低下による夏場の電力不足問題について、NTTグループがピークタイムに通信ビルの電力を自前の非常用電源装置に切り替えて、電力消費を抑えるプロジェクトが進んでいるらしい。ユーザーの反応もかなり上々。

 NTTグループが使っている年間消費電力は、およそ100億kWh(10TWh)で日本の総発電量のなんと1%を占めています。日本には400万の中小企業と、1万の大企業がありますが、1企業で1%ですよ1%!!とんでもない量です。

 これだけの莫大な電力を使っているのは、通信サービスを「日本中で」「24時間」提供しているからに他なりません。数と時間の両方がすごいんです。最近、攻撃の的(?)になっている自動販売機の消費電力も、90万台もの自動販売機が24時間動いているからあれだけの電力を使っているのです。

 NTTの通信ビル、つまり電話局に入ると一つ驚かされることがあります。それは、使っていない大量の通信設備が平然と動いている事です。使っていないというのは、古くなって新しい設備に巻き取られた設備や、需要が減りユーザーが居なくなった設備、設置したものの結局ユーザーが入ってこなかった設備などです。1番目はD70・D60といった旧タイプの電話交換機、2番目は古いアナログ専用線の伝送装置、3番目は需要予測を誤ってしまった設備が主です。

 例えば、NTT東日本の営業部門が需要予測を誤って設備を取り付けてしまったBフレッツ マンションタイプ用の収容装置。これは消費電力が150W程度の小さなスイッチングハブなのですが、これが東日本だけで1000台以上あり今日も動き続けています。この対向にある装置も当然使用されていません。これら無駄な設備が消費する電力は350万kWh/年以上で、政府が今回の震災で一般家庭に求める15%の削減目標に換算すると一般家庭5200世帯分に相当します。これは氷山の一角であり、しかも消費電力が少ない小規模な設備の例です。

 このような無駄な設備の電源スイッチを切るだけで、おそらく数億kWh単位の削減が可能と思われます。じゃあ何で電源を落とさないの?と思いますが、法的な制約(減価償却とか)もありますが、多くの場合「そのビルまでわざわざ行って電源スイッチをOFFにするのがめんどくさい」ってのがホンネのようです。設備を停止(業界では「火を落とす」という)して、取り外して資産登録から外す(減設という)というのは事務処理もけっこう面倒なのです。

 また無人であるはずの通信ビルの明かりやトイレの温水便座がずっと付いていたり、事務室のPCがつけっぱなしであったりと、NTTグループの省エネ意識(環境CSR)はかなり低いと言わざるを得ません。実際、NTT社員のPCの多くは、数十分経つとディスプレイやHDDの回転をオフにしたり、スリープする省エネ機能がOFFに設定されていたりします。逆に設定すると怒られるくらいですからね。

 というわけで、こんなスタンドプレイをする暇があるなら、それより前にすることが腐るほどあるだろう!と思うのです。



その非常用電源が福島にあったらなぁ〜〜〜

 こんなコメントを見かけたので、NTTの非常用電源設備についてちょっと触れます。NTTの通信ビルはどんなに小さいビル(電話ボックス数個分のいわゆるコンテナビル)でも非常用のバッテリーを持っています。このバッテリーで数時間設備を稼働させ続ける事が出来ます。加えて比較的大きなビルでは、ディーゼル発電機を持っているので、さらに1日は持たせることができます。

NTTusers.png

 この図は今回の地震で影響を受けたユーザー数の推移です。3月11日 14:46 から24時間たった12日の半ばごろから被害回線数が急増しているのが見て取れます。これがまさに非常用電源設備のバッテリーまたは燃料(軽油)が枯渇し設備が停止した影響です。

 さて、非常用電源が停止するまでに商用電力(電力会社からの給電)が回復する見込みが立たない場合は、移動電源車という発電機を積んだトラックを派遣し、配電盤に接続します。しかし地震で交通網が寸断し、電源車がビルにたどり着けず、さらに燃料も不足してたために復旧がだいぶおくれました。14日の朝に商用電源がだいぶ回復し、影響数が一気に下がりました。

 NTTの地震に対する対応は非常に早く、衛星電話や臨時公衆電話機の設置、移動基地局の派遣を数日で行い、2週間のうちに設備の9割を復旧させました。これは本当にすごい事だと思います。一方、残りの1割は1ヶ月経った今日でも復旧できていません。そのビルや設備はいま海の底に沈んでいます。この復興にはさらに数ヶ月かかる事でしょう。復旧のために福島第1原発の半径数kmの待避命令エリアでもNTT作業者が修理を行っていると聞きます。一日でも早く元に戻る事を応援しています。




※2011/04/22 : 日本の総発電量に対するNTTグループの消費量の割合が誤っていたので訂正致しました。また、Bフレッツ用某設備にいて、設備数が誤っていましたので同時に訂正しています。

nice!(1)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:パソコン・インターネット

nice! 1

コメント 3

0556

1%の間違いでは???
少なくとも、産經新聞のトップには「日本の消費電力の1%を占めるNTTグループ。」と。
どちらが正しいのでしょうか??

-eof-
by 0556 (2011-04-21 15:20) 

とんぼく

面白く読ませていただきました
ただ、電力使用量はどうやら1%の様です
それでもすごい電気使用量ですけどね
これからも、独自の視点よろしくお願いします
by とんぼく (2011-04-21 17:43) 

ミヤハン

NTTが発表している「電力エネルギー削減ビジョン」等の資料によると、2010年度の使用電力試算は100億kWh/年で間違いないようです。一方、日本の総使用電力量を勘違いしていたようで、改めて調べたら1兆kWh/年が正しいようでした。従いまして1%が正しい値です。修正します。ご指摘ありがとうございました。
by ミヤハン (2011-04-22 12:43) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。